情報:菜食傾向の食事と栄養状態


投稿日: からだにいい『もの』 ,

食事の一つとして、持続可能性の観点から肉や魚の摂取を減らすまたは止めたり、植物性たんぱく質等を利用した代替肉などの菜食傾向の食事の意識が広がりつつあると感じています。

菜食傾向の食事は、メタアナリシスの報告を確認すると不利益として血液中ビタミンB12の濃度低値、それに伴うホモシステイン高値(血管性疾患のリスク因子)などや利益として血液中の脂質状態の改善や肥満のリスク低減などが考えられています。

そして、菜食傾向の食事を栄養の供給源としては、ビタミンC、ビタミンE、チアミン、葉酸、マグネシウム、カリウム、食物繊維、カロテノイドやポリフェノールなどの植物由来成分の良い供給源である一方で、ビタミンB12、リボフラビン、ビタミンD、鉄、ヨウ素、亜鉛、セレニウムなどの栄養素が不足する可能性が考えられています。

最近の報告を調べたところ、2020年に報告されたドイツで実施した研究がありました。(Weikert C, et al.: Vitamin and Mineral Status in a Vegan Diet. Dtsch Arztebl Int 2020; 117: 575-82.

報告によると、菜食傾向の食事を実践している方は肉や野菜を摂取する方と比べて、ビタミンB12、ビタミンD、葉酸のサプリメントの利用が多いことが示されました。なお、他のサプリメントの利用頻度は肉や野菜を摂取する方と比べて変わらないことが示されています。

そして、前述した不足が考えられている栄養素の血液中濃度ですが、リボフラビンは基準値内の低値、ヨウ素は肉や野菜を摂取する方と比較し有意に低値を示し、鉄、亜鉛、セレニウムには差はありませんでした。

なお、その他に有意な低値を示した他の栄養素は、クレアチニン、コレステロール(LDLコレステロールが低値であるため)、ビタミンA、ニコチンアミド(ビタミンB3)、カルシウムが示されています。

最後に、食習慣はサプリメントの利用、地域による食素材の特性や好みによって異なります。ですので、普遍的な情報として知ることは大変難しく、日本でも菜食傾向の食事の摂取が同様な傾向を示すかは不明です。しかし、日本ではワカメや昆布の海藻を摂取しますので栄養状況が異なるかもしれません。今後、状況を調べてみたいと思います。


この情報が少しでもあなたの役に立ちますように。

参考データ:食事の傾向 (各36名で女性:18名, 男性:18名の構成)と血液の栄養状態(Weikert C, et al.: Vitamin and Mineral Status in a Vegan Diet. Dtsch Arztebl Int 2020; 117: 575-82.のTABLE 3を一部改変し作成。)

測定項目菜食雑食(肉、魚、野菜を摂取)p値臨床基準値 (ドイツ)
ヘモグロビン (g/dL)13.6 ± 1.213.8 ± 1.30.47女性:12.0-15.4; 男性:13.5-17.2
ヘマトクリット (%)40.6 ± 3.041.2 ± 3.20.42女性:35.5-45.0; 男性:39.5-50.5
赤血球 (T/L)4.5 ± 0.54.7 ± 0.30.29女性:3.9-5.15; 男性:4.3-5.75
MCV (fl)91 (88-92)89 (85-91)0.0980-99
MCHC (g/dL)33.4 ± 0.933.4 ± 1.20.8931.5-36.0
白血球 (G/L)4.7 (4.1-6.4)5.2 (4.6-6.5)0.153.6-10.2
リンパ球 (%)31 ± 1034 ± 80.1820-44
血小板 (G/L)215 ± 70239 ± 490.11150-370
総タンパク (g/dL)6.8 ± 0.47.0 ± 0.30.216.2-8.3
hsCRP (mg/L)0.39 (0.21-0.88)0.63 (0.24-1.74)0.25<1.0
血糖値 (mg/dL)81 (78-87)83 (77-90)0.4155-100
HbA1c (%)5.1 (5.0-5.2)5.2 (5.1-5.4)0.09<6.5
GGT (U/L)15 (12-20)18 (14-24)0.07女性:<42; 男性:<71
AST (U/L)23 (19-25)22 (18-27)0.65女性:<35; 男性:<50
ALT (U/L)21 (17-27)19 (15-28)0.57女性:<35; 男性:<50
クレアチニン (mg/dL)0.82 ± 0.150.89 ± 0.150.042女性:<0.95; 男性:<1.17
甲状腺刺激ホルモン (TSH)(mU/L)2.1 ± 0.92.4 ± 1.10.340.27-4.2
副甲状腺ホルモン (PTH)(pg/mL)53 (40-66)51 (27-58)0.1615-65
血清鉄 (μg/mL)89 ± 31106 ± 390.05333-193
フェリチン (ng/mL)60 (31-84)69 (32-114)0.23女性:15-150; 男性:30-400
総コレステロール (mg/dL)157 (137-180)204 (179-223)<0.0001<200
LDLコレステロール (mg/dL)87 (69-97)116 (94-136)0.001
HDLコレステロール (mg/dL)57 (51-71)62 (52-81)0.21>40
中性脂肪 (mg/dL)71 (53-91)85 (52-121)0.26<200
ビタミンB12 (pg/mL)458 (295-758)363 (308-494)0.12197-771
ホロトランスコバラミン (pmol/L)89 (59-205)84 (68-100)0.35<35
ホモシステイン (μmol/L)8.6 (6.7-11.3)8.8 (7.3-10.5)0.905-15
メチルマロン酸 (μmol/L)0.17 (0.15-0.22)0.18 (0.16-0.21)0.62<0.26
4cB12(ホロトランスコバラミン、ビタミンB12、メチルマロン酸、ホモシステインの値から求めるビタミンB12の状態を評価する指標)0.54 (0.07-1.24)0.42 (0.19-0.70)0.47参考:Sergey N. et al, Combined indicator of vitamin B12 status: modification for missing biomarkers and folate status and recommendations for revised cut-points, lin Chem Lab Med 2015; 53(8): 1215–1225.
総25-(OH)D (nmol/Lの結果に0.4をかけてng/mLに変換) 【】内はnmol/Lの結果27.4 (8.6-35.2)
【68.6 (21.5-88.1)】
18.2 (13.8-27.4)
【45.4 (34.6-68.6)】
0.348-60
【20-150】
葉酸 (ng/mL)10.9 (7.7-12.8)7.8 (6.4-11.2)0.033.9-26.8
ビタミンA (μmol/L)1.8 ± 0.32.1 ± 0.50.0031.46-2.84
ビタミンA/コレステロール (μmol/mmol)0.45 (0.36-0.50)0.36 (0.33-0.52)0.19
α-トコフェロール (μmol/L)28.7 (26.0-34.0)34.8 (28.7-41.5)0.00318.9-38.8
α-トコフェロール/コレステロール (μmol/mmol)7.11 (6.51-7.43)6.72 (6.08-7.23)0.06
ビタミンK1 (nmol/L)1.55 (1.30-2.23)0.78 (0.54-1.13)<0.00010.1-8.7
ビタミンB1 (nmol/L)7.5 (5.8-8.6)6.4 (5.0-7.9)0.157-16
リボフラビン(V.B2) (nmol/L)6.0 (4.4-10.7)9.1 (6.8-11.8)0.035-38
ビタミンB3 (nmol/L)190 (161-239)243 (194-299)0.0192-388
ビタミンB6 (nmol/L)67 (49-89)79 (47-100)0.6217-102
セレン (μmol/L)68 (60-82)77 (68-84)0.11
セレノプロテインP (mg/L)3.3 (2.6-4.5)5.0 (4.2-5.5)<0.0001
亜鉛 (μg/dL)80 ± 1287 ± 130.00860-120
ヨウ素 (μg/L) 【24時間蓄積尿】28 (18-42)74 (42-102)<0.0001>100
カルシウム (μg/L) 【24時間蓄積尿】56 (37-73)86 (49-166)0.004

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